top of page
  • 執筆者の写真まつださえこ

着物の学力テスト。いとおかし。

更新日:2021年11月10日

きもの文化検定は、今年で第16回目。

この検定、発足した当初からすると年々『左前になっている』そうです。ほんまかどうかは存じ上げませんが。

この左前になるという諺は、検定3級の100問目に出てきがちな諺。ここで使わなきゃ、いつ使う。というブラックジョークです。ごめんなさい。


実は個人的に意外と楽しんだのですが、それはさておき、まず客観的総括です。

私は5・4・3級の併願組。


【検定会場の様子】

午前中の5・4級検定、受験者は両手で数えられるほど。年齢的にも、私ぐらいから上の年齢層の女性ばかりでした。ちなみにお隣の席の2級検定受験者の方も同様です。

これにはちょっと驚きましたー。

検定発足当時の16年前、私はちょうど某和装CMに飛び付いたばかりの浅はか女子だったのですが、この頃のきもの文化検定は、ビギナーの私が側から眺めているだけでも、着物愛好家の向上心を大いにくすぐる存在感だったと記憶しています。着物好きの先輩方の検定に対する情熱たるや、かなりの盛り上がりをみせていました。

それが今は、大学の小さな講義室に収まって尚、空間にゆとりある程度の受験者数…。

私よりお若い方がいらっしゃらなかったのは、土地柄なのかな。他県はいかがなものでしょうか。


実は、今回郵送されてきた受験票には開始時間の記載が漏れていて、「そんな受験票あるのか笑?」なんて思っていたのですが、同時刻に受験されていたお隣席の2級検定者の方は、さらに災難だったと思います。検定時間内にも設問の訂正箇所が続々と出てきてましたので、絶対落ち着かなかったはず。横でモゾモゾと裾野の検定してた私ですら、その訂正解説が耳にやかましくて眺めちゃってましたから。書類ミス多し、という実感。


午後からの3級検定に至っては、片手で数えられるほどの受験者数です。お隣席で実施の1級検定、配られた時の白紙回答用紙は聞いていた通りの文章問題ばかり。

(あちらは大変だ。)と思いつつ、(こっちはマーク式回答用紙が横長の楕円なのが塗りづらいんだな。マーク式はやっぱり縦長楕円がよい。)などと勝手なことを考えておりました。


さて。

【試験の内容】

全体の傾向として、とにかく年々設問の難易度が下がり倒しているようです。

過去問題集を先輩から数冊お借りしていたのですが、2010年辺りの問題集の設問1問に対して、2021年の設問1問の文字量は半減といった印象。1問にかける解読時間が短くて済むようになった。内容も年々捻りがなくなってきて、解きやすくなっています。ひたすらカンタン傾向に。

むしろ、10年ほど前までの受験合格者さんは、5・4級検定試験でもちゃんと勉強しないと危なかったでしょうから、素晴らしいですよね。


私はこの十数年の着物生活で大した勉強もしてきませんでしたが、この度の5・4級検定は、10年で刷り込まれた基礎知識の答え合わせという感じでも9割正答します。

3級検定は、伝統工芸職人じゃない私が覚えたところで、そのうちすっかり忘れてしまうだろう専門的な知識が設問として半分ほどあります。なので、それなりの合格点を目指すならば、過去問頼みでいいので勉強は必要。



ということで。

【所感】

もしも、この検定を生徒様にご紹介するのであれば、知識として知っていて損がない内容の5・4級検定。好きが高じて3年〜5年目くらいに丁度お勧めです。しかし、3級はどうかな、です。


琉球絣のくくりの作業名って。

ルクジュウって。

空引機って。

友禅の作業工程の順番って。

石帯って。半臂って。


そんなこんなのワードが飛び出る3級は、正答率を上げるために、比喩や笑いに結びつけて、なんとなしに覚えたものもあります。が、感動と結びついていない知識なんて、きっと忘れてしまうなぁとも思っている。


数年前、職人さんのお宅へ上がらせていただいて、友禅の糸目置き作業を拝見した際には、その場の空気と匂いと静けさまでセットになって記憶するほどに強烈に学ばせていただきました。

見て、聞いて、心が動くから学びは定着するわけで、伝統工芸の産地見学はありがたいことです。過去問や検定問題を眺めても、職人の仕事について知るべしという意図を感じるにつけ、実際見に行かせていただけるならば間違いなく覚えるのになぁと、心の頬杖ついてましたー。


というわけで、私にとっての検定の意義とは。

何を知っていて、何を知らなくて、今後何を学び、獲得しにいきたいか、それを洗い出すこと。

正答すること、合格することを目的にすると、むしろもったいない。

大人の学力テストは、自分がいかに知らないかを知れば新たな好奇心も湧くし、ついでに謙虚さもカムバック。存外いいこと多い。


そう思うと、もういいや、勉強したくても手が回らずにイライラするだけですわと投げ出していた2級1級検定も、考え直すべきかなぁ。


きもの文化検定総括でしたー。



そうそう。あるあるですが、試験問題のページを誤って多くめくりすぎて、設問番号とマークシートのチェックがずれてるのに途中で気がついて、驚きの声を発していたご婦人。

今のその気持ちお察しします!の👍マークを心の中でそっと押しました。無事修正を終えられたようですよ。






閲覧数:43回0件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page