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執筆者の写真まつださえこ

着付師脳内は身丈に思考する

今朝。美しい朝。

いつもお越しくださっている生徒様から入学式の着付けをご依頼いただいてましたので、いそいそとご自宅へお伺いしました。




ご親族の方から譲り受けておられる着物の身丈がご自身の体型に少し足りないことは、着物を羽織った時点でご理解なさっていらっしゃいました。さすがです。基礎レッスンを始めた1年前から思い馳せれば、サイズ感の見当の付け方が生徒様の中に自然と備わってきていらっしゃいました。さすがです。読んでくれてるかな?(下心)


さて。

お召しになる方にとって着物の身丈が充分でなかった場合、着付師は脳内で最善の落とし所を考え始めます。そして、まず、お客様にその日のお出かけのプランをヒアリングさせていただきます。今回は入学式なので以下のような感じ。


今日はどういう場所へお出かけなさるのか?

校舎?体育館?階段?運動場?移動はスリッパ?


そこまでの交通手段は?運転なさるのか否か?

車?バス?電車?徒歩?


学用品などの荷物運びがあるのか?


お子さまは抱っこ大好きちゃん?ごきょうだいを連れて行かれる?


お着物でお出かけなさるのにどの程度慣れていらっしゃるのか?

お手洗いの時の着物さばきをご存知か否か。


などなど。


これらのヒアリングに対するお客様のご回答は、着付師松田の頭の中で以下のように変換されていきます。


校舎はスリッパ移動なので、裾の長さは訪問着といえど床から1㎝

けれども身丈が足りないので2㎝に留めたい

学校の場合、トイレは子どもサイズだし、大人用であっても空間の狭い場合がほとんどなので、身動きのとりにくさから考えても着丈は短めでご案内しよう。


車の移動や校舎階段の登り下り、草履⇄スリッパの姿勢を考えると、着崩れのないよう、腰紐は腰骨より上のベストポジションに収めて差し上げたい。

おはしょりの長さと美しさを優先するならば骨盤に掛けたい。けれども、それだとまだ着物でおでかけに慣れていらっしゃらない場合、裾が開いたり、骨盤周りに痛みを生じる可能性もある。やはり腰紐は身体構造的ベストポジションに。


となると、おはしょりはギリギリの長さしかとれないので、無理に衽線を合わせにかかると、おはしょりの生地が斜めにヨレる。極力、おはしょりを水平に合わせるだけに留めよう。


ざっとですが、こんなふうに思考を張り巡らせて、見た目だけは涼しい顔でお着付けさせていただいています。

サイズ(今回は身丈)がお召しになる方にとって充分でないという時、着付師松田は、何かを優先し、何かを少し妥協し続けながら<トータルで美しい着姿>を演出して差し上げるように努めているんです。

ようするに苦悩しています。

アヒルの水かきです。


こういうことは立派な着付師さんは言わないと思いますが、実はこんなことを考えていますよ、という衝撃笑撃なお話でした。



追伸 主に当教室の生徒様に向けて。

身丈。スマートに美しく正統派に着こなしたい場合は特に大事です。

これから準礼装着物、礼装着物をお仕立てお考えになっている方、現実的にお直しが可能な礼装着物をお持ちの方は、身丈長い方がオススメですよー、お直しはギリギリまで伸ばせるなら是非そうなさってくださいね。ただ長ければいいという話ではありませんが、身長=身丈では実は割に合わないことを覚えていただきたいなぁと思っている次第です。

身長<身丈 ◎

身長=身丈 🤔キビシイ

身長>身丈 🤦‍♀️グハッ

アドバイスできますので、ご検討の方はご相談くださいませ^^











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