生徒さまからご相談頂いた肌着の話。
新たにレッスンをお始めになった方のお持ちになっていた肌着が、少々着付けにそぐわないものでしたので、購入のためのアドバイスいただけませんかとのメールを頂戴しました。
肌着と一言に言っても、お伝えしたいことがたくさんありすぎて、かといって迷走させてもいけませんので、まずは昔からあるスタンダードな肌着&裾よけをご紹介いたしました。
一つあって損はないものです。
肌着は、背中側の繰越が最初から深めに仕立ててあって、綿素材。
裾よけは、腰周辺に当たる力布の部分が晒生地で、その下に続く生地はキュプラ(製品名ベンベルグ)。
この辺りから始めたら、素材的にも価格的にも問題ないかと思います。
無論、慣れてくると普段着着物の下はこの限りではなくなってきて、長襦袢の下は誰にもいえないような格好になったり、自慢したくなる肌着になったりしますが、それはそれとして、です。
また、上半身と下半身の可動域から考えると、ワンピース型のものよりはセパレート型のものをお勧めしております。これもまた素材とご自身の感じ方にもよりますので、一概にはいえないことです。しかし、何事も最初が肝心ということで、初めの一歩の肌着について少しご説明いたしました。
さて、このところ、お着付けが非常にバラエティに富んでいます。
訪問着、お振袖、四身、紋付袴、etc
そうした中でいつも思うのは、年齢によって、肉付きというのは傾向があるということです。骨格自体千差万別ですが、その上に乗ってくる筋肉や脂肪のつき方は、イレギュラーを除いて年齢的傾向があります。
そして特に最近感じるのは、20歳前後の女性の姿勢が半分に近い確率で、上半身前傾姿勢の骨盤前傾姿勢からの出尻です。反り腰ともいいますね。かつ、若さゆえに下腹の肉付きがまだ薄い。お着付けの際は、アンダーバストからの下腹への補整に留意しています。
あけすけな書きようですが、決して体型に難癖をつけるなんてことではなく。
世代によって、時代背景によって、体型的な佇まいが異なり、お一人お一人の体型から知れるその方の普段のご様子まで共有させていただく時間、着付けというのは味わい深いということなのです。いい仕事です。
この間、振袖お召しのお嬢様に「静かに着付けていただいて楽でした、ありがとうございました」というご感想を頂戴しました。よくよく伺ってみると、一週間前に同じ着物と帯で着付けをお願いしたら、前後左右に身体ごと振られて大変だったと笑。
着付けた方が笑って済ませられなくなるのは「着付師」という称号を自ら名乗り始めた時だと思いますが、お嬢様にとってはあれもこれも経験、ということでしょうか。良き感想をいただくのはありがたいことです。けれど、その分身が引き締まります。良きを重ね続けることの方が難しく、成り難いことです。
現場を終えて、後部座席で魂抜けた私。を撮られていました。
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